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卒業生インタビュー vol.15土井 武史
第52期 技術コース卒業生
長屋 有
第53期 技術コース卒業生

 

2014 年から多治見市を拠点として活動する3RD CERAMICS の土井武史さんと長屋有さん。 3RD CERAMICS はishoken での研究生時代共に同じ場所で学んだ2 人が、卒業してから数年後に立ち上げた新たなものづくりの形です。 日々模索しながら新たなものづくりに取り組む土井さんと長屋さんの活動についてお話を伺いました。


□3RD CERAMICS を立ち上げたのはどういったきっかけですか?

(長屋)ishoken を卒業して数年後に、私と土井くんでグループ展に一緒に参加する機会がありました。その時に二人で話をしていたら、お互いのやりたいことのビジョンが近かったんです。いきなりメーカーを立ち上げるということにはならなかったんですが、ちょっとずつ二人でできることを始めたのがきっかけです。そこに卒業生ではないのですが、もう一人花山くんが加わり三人で徐々にですが活動を始めていきました。

(土井)3RD CERAMICS という名前は、量産のメーカーでもなく個人作家でもないその中間、つまり第三の切り口を意図したネーミングなんです。デザインするときは、機械生産の匂いもしながら、手作りの良さや一個一個の個体差がいきるような作り方を意識しています。それが始めるきっかけになったビジョンです。




□普段はどのように制作しているのですか?

(長屋)私たちの場合は注文をもらってそれに向けて制作をしています。それぞれのペースがあるので休みや勤務時間は決めてないです。勤務体系はスーパーフレックスです(笑)。


□いきなり注文がくるわけではないですよね?

(長屋)私と花山くんが名古屋出身なので、最初は名古屋の知り合いづてにお店に置かせてもらいました。そこから徐々に色々なイベントに出させてもらうようになり、東京の見本市に出してから更に広がって中部圏以外からも話をもらえるようになりました。

(土井)あと一番大きいのがホームページを作ったことですね。ホームページに写真をあげてから本当に問い合わせをもらえるようになったので。


□今ちょうど京都で展覧会中ですよね。

(長屋)そうですね。普段の仕事は、注文をもらって制作をして荷物を送って完結する事がほとんどです。私達は、展示が多い方ではないので展覧会は楽しいですね。買ってくれた方の顔が見える機会というのは単純にうれしいです。たじみ陶器まつりの時に毎年参加しているクリエイターズマーケットも、人と出会える場なのでとても良い機会になっています。


□そもそも2人がやきものを始めたきっかけは?

(土井)私は、勉強がしたくなくて・・・。ずっと小さい時から粘土遊びが好きだったんで、美術系で陶芸コースのある高校に進みました。大学ではデザイン科を志望していたのですが落ちちゃいまして。それで第二志望の陶芸に進んだんです。

(長屋)私は、大学でデザイン科だったんですが、最後まで自分の手でものを作りたくて、職人になりたいと思っていました。ishoken に入るまでやきものは全くの未経験でした。本当にやきものとは接点がなくて思い返してみてもこれだということがないんです。ただ、もしかしたら大学の時に自動車とかバイクとかのクレイモデルで土に触れていたのが楽しかったのでそこが今に繋がっているのかもしれないです。


□土井さんはishoken に入所した理由は何ですか?

(土井)高校でも大学でもオブジェを作っていて、陶芸が本当に面白かったんです。ただ美大の時に将来どうやって食べていくのかを考えてもなかなかイメージがわかなかったんです。ちょうどそんな時に色々なishoken 出身の作家さんに会う機会がありました。みなさん作家で活動していて、いったいishoken はどうなっているんだろうと思ったんです。それでishoken に行こうと思いました。


□ishoken 時代はどうでしたか?

(長屋)やきものは全くの未経験で入ったので、最初は全然できなかったです。作ることは2年生になって少しできるようになり、そこから少しずつ楽しくなりました。ただやきもののことを知れば知るほど、大きすぎてわからなくなった部分もあって。特に粘土の特性というか、ぐちゃぐちゃな部分で作る人とか、本当に色々なことをしている人が周りにいてどれもかっこよくて。自分が何をしたいかわからなくなりそうになったこともあったんですが、ただわからなくなったおかげで逆にデザインをしてきた自分の原点に戻ることが出来たような気もします。それに色々な同期の仲間ができて、特にとんでもなくデザインのできる同期がいた影響は大きいです。

(土井)卒業してからも先輩後輩の縦のつながりがあったことがとても助かりました。色々助けていただきましたし、色々な情報をもらえたことも大きいです。

(長屋)先輩との縦の繋がりもそうですし、多治見の色々な人達にお世話になったことも大きいです。今の工房を使わせてもらえているのもそうです。


□駅近で目の前は飲食店ですし、工房のある環境も面白いですよね。

(長屋)そうなんです。工房で仕事をしていると色々な人が入ってきますよ。この場所のおかげで色々な人と繋がりが出来ました。私達の活動スタイル的には、今の環境がとてもあっています。


□今後の展望は?

(土井)新しいものを常に生み出していき、私達にしかできない活動をしていきたいです。3RD CERAMICS をもっと知ってもらって、色々な人達の希望に一つ一つ丁寧に応えていきたいです。毎日のちょっとした幸せに気づくような毎日を大切に過ごす人の暮らしの役に立つ仕事をしていきたいです。


□最後に、ishoken の後輩たちに伝えたいことはありますか?

(長屋)やきものを長く続ける秘訣は、やきものとの自分なりの関わり方を見つけて、自分にとってベストな距離感を見つけることだと思います。作家になっても、デザイナーになっても、職人になっても、焦らず自分のペースでやきものを続けて欲しいです。

(土井)ishoken や多治見という場所は、やきものを勉強する場としては最高の場所です。目一杯活用して思い切って見たこともないようなものを作って欲しいです。



(2018年取材)