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卒業生インタビュー
小林俊介さん
vol.01
小林俊介さん
グッドデザイン賞ロゴ

 


 

□3度目のグッドデザイン賞ですね。

そうですね。「コワケ」がグッドデザイン賞になったのが2004年で、「column(コラム)」のポットとカップ・ソーサーが2006年、「column」の追加アイテムのドリッパーが2007年です。

 

□「column」シリーズはどの様に生まれたのですか?

元の発想は、貿易関係のお客さんから「アメリカの方の業務用のポットは、フタを閉めたまま重ねられるのが基準なんだけど、日本ではそういう物が余り無いから作ってみてはどうか。」と言われたのが始まりです。それで重ねられるポットという物を作ろうと思ったんですけど、家庭にはポットが2個も3個も必要ないですから、やはり重ねられるポットという事でレストランなどの業務用を想定してデザインを始めました。
形は「ただ重ねましたよ」って形ではつまらないので、重ねたときのフォルムを意識しながら色々図面を書いていったのですが、結局すっきりストーンと真っすぐの円筒形の物が並んでいるのが一番面白かったので、ああいう形になりました。そこからは円筒形を邪魔しない形で大きな手でもしっかり持てるハンドル、それから安定感、そしてフタは重ねる時にツマミが出っ張っているとコツンと当たってしまうので、ああいう凹ませた形で作りました。そんな感じで進んで、ポットとカップ・ソーサーは出来ました。
次にこれを家庭用に使えないかという事を考えました。「column」は業務用にデザインしたものなので、家庭用に考えると「ただ重ねられる面白いポット」にしかなりません。「column」の「重ねる」という機能を活かした追加アイテムを出せないかと考えて、ジューサーとか色々考えたのですが、最終的にはポットに重なる形のドリッパーを追加して、家庭用のコーヒーセットとして使える様にしました。



2007年グッドデザイン賞
“column(コラム)”ドリッパー

 

□小林さんは現在の会社に入って9年になりますが、今までに何点くらいデザインをしたのですか?

アイテムでいえば100点近くにはなると思います。1年に1~2シリーズをデザインしていて、1シリーズが大体10アイテム位はありますから。

 

□デザインをする時に基になる発想は何ですか?

今、自分の会社が作っていない物だったり、これからはこんなものが良いんじゃないかという所から始まります。そして、それがどこでどう使われるか、それをどんな店で売るかという市場性を含めて考えます。
ウチの会社には4人のデザイナーがいるのですが、その中で自分の得手不得手があります。基本的に僕がデザインする物は男性的というかカタい物ですね(笑)。形を見せたいので、絵のついていない白いものがメインです。だから基本的にはレストランなどの業務用が多いです。
それから、あまり僕の個性を出し過ぎない様にしています。こだわりとか、こうしたいとか…付け足す程悪くなる事もありますから(笑)。余りやり過ぎない様に、一歩手前で引く様な「やめ時」みたいなところを意識しています。



2004年グッドデザイン賞“コワケ”

□意匠研究所で学んだ事で、今でも役立っている事はありますか?

当たり前ですが、「やきもの」をしっかり学んだって事ですね。
釉薬も自分で作っていましたし、ロクロもやっていたし、石膏は苦手だったので仕事する様になってから覚えましたけど(笑)、それ以外の焼き物の技術をきちんと学んだって事は大きいと思います。
もちろん仕事する様になって覚えた事が大半なんですけど、そのベースになっている事は研究所の頃にやっていた事や見ていた事ですね。

 

□デザイナーを志す後輩に伝えたい事はありますか?




株式会社深山デザイン室の様子

デザイナーの仕事は、図面を書いて「はい終わり」っていうのではなくて、現場に落とすとか、売るとか、そういうところまで考えるのが大切です。そういう意味で最後まで責任を持ってやれないといけないという事を最近すごく感じています。今の時代は、問屋やお店といった販売ルートが整備されていているのですが、でもメーカー側も自分たちでそういう事を考えなければならないのではないかとも思っています。
デザインを学んでいる学生はデザインして「ハイ終わり」みたいな考えがあると思んですけど、そうじゃなくて、デザインする事、生産する事、売る事をバランス良く考える必要があると思います。

あと、もう1つ言えるのは、どこまで「自分を殺せるか」ということです。わがままではないといけない部分もありますが、最終的にはユーザーであったり、自分が所属する企業であったり、最終的に全ての人が幸せにならないと思います。作っている現場を考えても、自分一人で物を作っている訳じゃないですから…現場で鋳込んでいる人、仕上げをする人、絵付けをする人、運搬する人…色んな人の手が加わっているんです。そういった事も考えてやらないといけないって思います。
自分を出し切ったから良いデザインだっていうのは間違いだと思うんです。作る人、売る人、使う人…製品に関わる全ての人を幸せにするのがデザイナーの役割だって気がしています。

 

(2007年11月26日 取材)



ショールームでcolumnを手にする小林さん

 

 


 

■株式会社深山のデザイン室の4人のデザイナーは、みなさん多治見市陶磁器意匠研究所の卒業生です。小林さんの製品のみならず、ショールームに並んだ製品はどれもデザイン性の高い物ばかりでした。

 

小林さんがデザイナーをつとめていた 株式会社深山のホームページ。
(※現在は退職されています)